第五章 アモスの法

これらはアモス(Amos)の定めであり、この地の人々の中で正義が普及すべく彼が定めたものである。邪悪と悪行が撲滅されるべく、そして強者が弱者を虐げることを防ぐ為に。アモスは言った。「これから来る日々と全将来において、これらの定めを記念物として残させよ。」

「これらの定めが審判に用いられる時、判事には知恵を持たせ、そして書かれている言葉に注意を払わせよ。あらゆる判事にその地から邪悪と悪人を根絶しようとさせ、人々の幸福を促進させよ。もし彼がこれらの言葉の間に「真実」(Truth)と「正義」(Justice)を求めるならば、それらが彼の前にあるとして、如何なる書かれた言葉も完全に彼の役に立つ事は無いことを彼に思い起こさせよ。「真実」や「正義」は書き物や人々の法律の中にただぼんやりと反映されているのみであり、彼自身の心の中の正義の光によってのみ明らかにされなければならないのである。」

「審判の座は全ての小さな考えや卑しむべき目的の上へと持ち上げられることになる。もし狭量な人間たちが判決の形成について議論したり、注意をひくために特定の言葉を拾い出したりする事が許されるならば、その卑劣さには際限が無いであろう。推論や解釈が命令から為されてはならないし、そのような推論や解釈は命令を改変してしまう。」

「その人の為に重み付けられた秤をもってあらゆる人を判断せよ。性急に判決を下してはならない。時間は判決をより公正なものとするであろう。どのような挑発があるにせよ、発言にあたっては忍耐強く穏やかにあれ。せっかちで機嫌の悪い判事は、御しえない馬にまたがる相応しからざる判事である。」

「判事の言葉は、彼の聞き手たちの耳に適合するように言い表されなければならない。判事の言葉は適切な時に、適切な物腰で話されなければならない。判事の話は長すぎず、また短すぎずであるべきだし、あらゆる言葉が良く選択されるべきである。」

「人々の脆さが判事をその座に送り出す。それ故に、如何なる判事も審判だけのために座していてはならない。法規命令によって罰が与えられていない場合は、判事は過去の判例に従って罰を定めるものとする。法規命令の言葉が男性たちに関する場合は、他の場所で違った具合に述べられているのでなければ、女性たちについても同様に取り扱うものとする。子供とはその肉体が成人に達していない者たちのことである。」

「二人の人たちが判事の前に立つ時、判事はあたかも両者が同じ程度悪かったとして見るべきであり、そして彼らが去った時には、あたかも両者が正しかったかもしれないと見るべきである。人々の動機は多岐にわたり予想外であり、例え彼らが判決に従うとしても、彼らの間の論争は正義をもって解決しないかもしれない。」

「金持ちの人と貧しい人が彼らの間の裁決の為に判事の前へやって来る時、判事は心の中で次の様に言う筈があろうか。「どうやって私は貧乏な人が悪であり、そして金持ちの人が正しいと言い、そして貧乏な人に惨めさを加える事が出来ようか?」また判事は心の中で次の様な事も言う筈があろうか。「その金持ちの人が権力者であり、そして私は彼の手に引き渡されてしまうかもしれないのであるならば、どうやって私は貧乏な人が正しく、金持ちの人が悪であると言うことが出来ようか?」

「もし人々の間で口論があるならば、判事は一人を座らせてもう一人を立たせたり、一人に辛抱強くしてもう一人に性急であってはならないものとする。両者が座り、または両者が立つ事が出来るし、そして一方が苦しんでいるのでない限り、彼らは常に判事の前で平等であるものとする。」

「判事は、自分の好意を勝ち取る為の、あるいは好ましい判決を得る為の方法を示唆するであろう如何なる事も言わないものとする。もし、全ての人々が正義の中を歩んだのであるならば、判事が邪悪な者を罰する必要はなかった注1であろう。それ故に、正義は人々の法律よりも望ましいのである。もし全ての人々が「真実」(Truth)の光の中を歩んだのであるならば、彼らの間の争議を解決する為の判事は必要なかったであろう。しかし、人々は「真実」(Truth)のただ見劣りのする反映のみを見て、そしてそれは彼ら自身の理解する所によるものによって歪められているので、二人の人たちが係争する時に、各々が自分が正しいと本当に信じている事がままある。その時に彼らは判事の前へやって来て、「真実」(Truth)をより明確に見る事が出来る判事たちを信用するのである。判事たちには彼らの前へとやって来る如何なる者たちよりも良く「真実」(Truth)を見る事が出来るようにさせよ。」

「ある人の人生や自由、あるいは彼の家族の自由が危機に瀕していて、判事の前へとやって来る時、判事は最初にその人が無実で正しいと考えるべき理由を聞くものとし、その人に罪があり誤っていると考えるべきではない。」

「証言をする為に審判の場の柱の前にやって来るあらゆる人は、マラット注2のカップからの飲み物を与えられるものとし、聖堂と炎の前にて審判の宣誓を為すものとする。あらゆる人は二か月の間自分の為に証言してくれる人を見つけ出すことを許されており、そしてもし彼が理由を付してもう二か月を要請するならば、それは拒否されないものとする。」

これらは「光の子ら」(Children of Light)の為のアモスの定めである:

「如何なる者も、どの様な神の神殿の中であれ崇拝したり、あるいはどの様な彫像や偶像であれそれを前にして敬意を表して立たない事を定める。崇拝において如何なる神も「至高なる霊」(The Supreme Spirit)に加えないものとし、その人の敬虔と崇拝の全ては「至高なる霊」(The Supreme Spirit)に捧げられるものとする。」

「如何なる者も「至高なる霊」(The Supreme Spirit)の名において、あるいは「至高なる霊の聖典」(Scriptures of The Supreme Spirit)に反して彼が如何なる事をも為す事に束縛するであろう他の如何なる名においても、誓いを立てないものとする。また彼は、自分の忠誠心や責務を光の中を歩く者たちから離れて傾倒させるであろう誓いを立てる事をしないものとする。しかし、王や統治者に仕えなければならず、そして義務と併せて忠誠心や責務が我々の公然の道義である時は、彼らに良く仕える事や、信任や責務に忠実である事を誓うのは、彼を否定するところではない。人を拘束する唯一の謹厳な誓いは、彼の不死なる魂にかけて誓うものとする。というのも、「至高なる霊」(The Supreme Spirit)の御名において誓う事は禁じられているからである。」

「如何なる者も霊的知識や「真の行動の大いなる道」(The Great Path of the True Way)の知識を売ったり交換したりしないものとする事を定める。酔っている時は聖なる場へやって来たり、祈りの場へと入ったりしないものとし、また徒歩旅行者や同日中に遠い場所からやって来た者でないならば、不潔な状態でこれらの事を行わないものとする。自分を清める為に水が利用できないならば、きれいな砂ならば忌み嫌われる事は無い。」

「「真の行動の大いなる道」(The Great Path of the True Way)に本当に従う全ての者たちと「至高なる霊」(The Supreme Spirit)に奉仕する「人々の協会」(Brotherhood of Men)である者たちは、「光の子ら」(Children of Light)と呼ばれるものとする事を定める。もし彼らの内の誰でも他者による恐怖を通じて「光の子ら」(Children of light)を断念するのであるならば、彼は不相応であり、追放されるものとする。彼はこの地でも「天上」(Heaven)でも、そこには「光の子ら」(Children of Light)の為の特別な場があるのであるが、光の子らの間に数えられないものとする。しかし、見知らぬ土地へと逃れなければならないにも関わらず「光の子ら」(Children of Light)に忠実であり続ける者たちについては、もし彼らが格闘し続けるのであるならば、彼らには何の過ちも無い。」

「もしある人が悪行について何かを聞き、あるいはそれについて何かを知り、そしてその知識を判事の前にまたは判事の従者に開示し損なうならば、彼は罰せられない事が無いものとする事を定める。」

「もしある者が殺人、窃盗、あるいは姦通の証言をしようとしないのであるならば、彼は誰であっても罰せられない事が無いものとする事を定める。もし彼が、炎と聖堂の前にて、彼自身の理解に基づき虚偽の証言をするのであり、それが耐え難いものであるならば、彼は自分の舌を失うものとする。」

「もしある者が自分の妻に対して姦通の虚偽の告発をするならば、正当な理由や彼女の無思慮な行為が無ければ、彼は誰であっても七十回のむち打ちを受けるものとする事を定める。」

「もしある者が他者を殺すのであるならば、それが彼自身の防御の為に為されたり、彼の家や家族の防御の為に為されるのでない限り、彼は誰であっても死ぬものとする。もし殺された者が殺した者の家庭内の一人である姦通者や誘惑者であるならば、彼(殺した者)は死なないものとする。」

「もしある者が議論や言い争いの間に怒って他者を殺すのであるならば、そしてその戦いが公正であり対等であるならば、彼は誰であっても追放されるものとする。しかし、もしある者が他の者を待ち伏せして殺し、あるいは策略もしくは他者の背後へまわる事によって殺すのであるならば、彼は誰であっても生かされる事が無いものとする事を定める。」

「血族への復讐者は判事によって指名されるものとし、そして判事によって指名されたのでなければ、如何なる者も自分の血族の者へ復讐を行ってはならないものとする事を定める。」

「もしある者が殺人の意図無しに、憎悪や悪意無しに他の者を殺すのであるならば、彼は誰であってもその殺人のために殺される事が無いものとする事を定める。」

「如何なる者も一人の証人の発言によって処刑されることが無いものとする事を定める。もし妻が不注意や悪意を通じて自分の夫の死を引き起こすのであるならば、彼女は生かされる事が無いものとする。流血のおきては、自由人には自由人を、奴隷には奴隷を、そして女性には女性を、である。自由な者は死に報いる為に奴隷とされることが出来る。」

「ある男が彼自身の行いの為に死ななければならない時、それは剣殺によって、溺死によって、または埋葬によって行なわれるものとする事を定める。女の場合は窒息、埋葬または溺死によるものとする。」

「もしある者がその父や母を殴ったり彼らを呪ったりするならば、彼は捕らえられて奴隷として売られ、その代金は彼の父および兄弟らに与えられるものとする事を定める。しかし、ある者が、その者たちの命を心配して彼の父 注3 ならびに母および彼の姉妹の間に介在するのであるならば、彼は罰せられないものとする。この場合は、その問題は判事の前に現れない事は無いであろう。というのも、もしその父がそのような暴力の輩であるならば、どうやって彼は「光の子ら」(Children of Light)の間に列せられると主張することが出来ようか?」

「もしある者が他の者を捕らえ、彼を売り渡して捕らわれの身とするならば、捕らえた者は死ぬものとする事を定める。もしある者が、挑発されることなく他の者を殴り、彼の目や鼻を失うようにあるいはどの程度であれ怪我を負うようにするのであるならば、悪を犯した者は、判決に従って現物で償うものとする。」

「ある者の所有する動物が自身の管理地の範囲内で他の者を傷つけるのであるならば、その動物の所有者は何ら咎めを受ける事が無いものとする事を定める。しかし、もしその動物が管理地の外部にあって解き放たれているのであるならば、その動物の所有者は現物で被害弁済をするものとする。もしその動物が過去に獰猛であってかつそれが所有者に知られていて、そしてその動物が人を害する為にその囲いの境界を越えて彷徨うのであるならば、その所有者は被害の三倍で弁済するものとする。その動物もまた殺されるものとするが、屠体はその動物の所有者に属するものとする。」

「もし動物がその制限範囲の境界を越えて彷徨い出し、その所有者の知る限りでは獰猛であるならば、そしてもしそれが誰かの死を引き起こすのであるならば、その動物の所有者は死ぬものとする事を定める。しかし、もし判事によって判決されるのであるならば、その者の生命は対価を支払って解放されることが出来る。」

「もしある者が誰でも他の者の動物に対して死や損傷をもたらし、かつその動物がその正しい管理地の中やその所有者の土地の中にあるのであるならば、その死や損傷をもたらした者はその価値の三倍を被害弁済するものとする事を定める。もしその動物がその所有者の土地の外部にあり、かつその動物が危険や損害の原因ではないのであるならば、その死をもたらした者はその価値を被害弁済するものとする。もしその動物が危険や一層の損害を引き起こすようなものであると考えられたのであるならば、それを殺す以外の選択肢がなかったという条件で、被害弁済はされないものとするが、その屠体はその所有者に返されるものとする。」

「如何なる者であってもある者の動物が他の者の動物の死をもたらすのであるならば、死をもたらした動物は売り渡され、受け取ったお金は二人の所有者で分け合うものとする事を定める。しかし、もし死をもたらす動物が獰猛である事が知られていて、その所有者に知らされていたのであるならば、彼は死んだ動物の価値の満額で被害弁済するものとし、その屠体は彼のものとする。」

「もしある者が、他の者の牧草地で生育するまたはその者によって耕作された土地上で生育する任意のものに対して、不注意や意図的な行いによって損害を及ぼすならば、その損害を及ぼした者はその損害額の二倍を被害弁済しなければならないものとする事を定める。もしある者が他の者の動物が彷徨っているのを見つけるならば、彼はそれを顧みずに行かせてしまわないものとし、その所有者への返却の手はずを整えるものとする。これを行うことによって、彼は失うものがあったり報酬を受けなかったりすることはないが、もしその動物の所有者が貧しい者であるならば辛抱せよ。」

「もしある者が火事を引き起こすのであるならば、彼はその炎が焼き尽くす如何なる物についても、現物で等価なだけ被害弁済をするものとする事を定める。しかし、もし彼が軽率で、あるいは自分の行いを待とうとするのであるならば、彼は二倍の被害弁済をするものとする。もし物が焦げたり、または木や石の黒化があるのであるならば、被害弁済として支払われる価額は判事によって承認されるものとする。もしその火災が偶然に引き起こされたのであるならば、それを引き起こした者はその火災が焼き尽くすどのような物でもその価額の半分を被害弁済するものとする。人が扱う炎は彼が放つ矢の如きものである。というのも、弓の射手は、自分の矢がどれだけ遠くへ飛ぼうとも、その矢に責任を負うのである。」

「もしある者が何か家畜や家禽を盗み、それを取り戻す事が出来ない具合に処分するのであるならば、彼はその価額の三倍の被害弁済をするものとし、そして罰せられない事はない事を定める。しかし、その家畜や家禽が取り戻され、そして返還されるのであるならば、それらを盗んが者はその価額を支払うものとし、かつ罰せられない事がないものとする。」

「もしある者が何かを他者の保管に託し、そしてその物が金もしくは他の金属、または何か他の性質を有する物であって、そしてその物が盗まれるのであるならば、その盗人は、捕らえられるのであるならば、その価額の倍を支払うものとし、その金員はその物を所有する者とそれを保管するものの間で均等に分けられるものとする事を定める。もしその物がその所有者に返還されないのであるならば、その盗人は、捕らえられるのであるならば、その価額の三倍を支払うものとし、その一部はその物を保管していた者へ、二部はそれを所有していた者へと渡るものとする。その盗人は罰せられない事はないものとする。」

「もしその盗人が発見されないならば、その物を保管していた者は判事たちの前へ連れていかれ、彼の誠実さについての尋問を受けるものとする事を定める。もし彼が自分自身の使用注4の為に盗んだのであるならば、彼はその価額の二倍を返還し、罰せられない事は無いものとする。もし彼がその物をぞんざいに扱っていたのであるならば、彼はその価額までを被害弁済するものとするが、もし彼が不注意でなかったのであるならば、彼はそのようにする事を要求されることはないものとする。しかし、彼がその物の保管の為に支払いを受けていたのであるならば、彼はその保管料を返還するものとする。」

「もしある者が家畜や家禽を他者の保管に託し、それが盗まれあるいは傷つけられて死ぬのであるならば、それを保管していた者のその管理に不注意が見出されるとして、彼はその価額を被害弁済するものとする事を定める。もし彼に不注意が見受けられないのであるならば、彼は被害弁済を要求されることが無いものとする。もしその物が彼から盗まれて、彼がその保管について支払いを受けているのであるならば、彼はその価額を被害弁済するものとする。もし盗人が発見されるのであるならば、その盗人はその価額の三倍までを被害弁済し、罰せられない事は無いものとする。」

「子供から、または聾唖の者から、または盲目の者から、または白痴の者から取り上げる事は窃盗であり、盗人として罰せられるものとする事を定める。」

「もしある者が他者の船を盗み、またはそれが流れ去りもしくはそれを束縛するロープを解き放つように、失われるように流れの中に押し出すのであるならば、彼はその価額の二倍を返還するものとし、罰せられない事はないものとする事を定める。」

「もしある者が火災の家からあるいは洪水によって放棄された家から盗むのであるならば、彼はその所有者の奴隷となるものとする事を定める。」

「もしある者が神殿や聖なる場所から盗むのであるならば、彼は鞭打ちとされ、奴隷として売られるものとし、彼の価額は神殿や聖なる場所に引き渡されるものとする事を定める。」

「家畜や生命のないどのような物でもそれらに関する全ての種類の論争に関して、それが失われようがそうでなかろうが、様々な人々がそれを所有すると主張する所では、その論争は判事たちによって結論を下されるものとする事を定める。判事たちが誤っていると結論付ける者は、真の所有者であった者へその価額を支払うものとする。もし誤っている者が悪意を持ち強欲であったのであるならば、彼は罰せられない事がないものとする。」

「もしある者が家畜や生命のない物を借りて、所有者がそれと共に居らず、そしてその借りた物が失われたりまたは損傷を受けたりまたは傷つけられたりまたは死んだりするのであるならば、それがどのような物であっても、借りた者はその価額を償うものとする事を定める。もしある者が失われた物を発見して手元に留め、または彼が、正当に自分のものである所の他者に与えずにおくのであるならば、彼はそれを返還してその価額を現物で支払うものとする。もし彼がこれらの事について虚偽の宣誓をするのであるならば、彼はその価額の二倍を被害弁済するものとする。もしその物が返還されないのであるならば、彼はその価額についても返還するものとする。」

「もしある者が、他者に現に損害を及ぼすように他者に関する虚偽の噂をするならば、その損害を及ぼした者は、判事たちの判決に従って、為された損害の価額の二倍を被害弁済するものとする事を定める。もし彼がその噂が虚偽であると知らなかったのであるならば、判事たちはその件における彼の扱い方に応じて彼を裁くものとする。もしそれが不注意によってかつ悪意によって為されるのでないならば、彼はより少ない支払いを行い、彼が腐した人の所へ行き言葉でお詫びをするものとする。噂を他の人に伝える前にその真実に気づく事は、噂を聞いた各人の責務である。言葉に関する軽率さは罰せられないことは無いべきである。」

「もしある者が他者に対して偽証をし、そしてその偽証をされた者がそうでなかったならば罰せられなかった、またはより軽微な程度であったならば、その偽証をした者は、自分が他者に対してもたらすことになった罰を負うものとし、また判事たちが命じる通りの支払いを行うものとする事を定める。」

「もしある者が判決を覆すために賄賂を受け取るならば、彼および贈賄したものは、不当な扱いを受けた者に対して二倍の被害弁済をするものとし、いずれも罰せられないことが無いものとする事を定める。」

「どのような場であれ、審判の席に座する者は誰であっても、自分の地位を理由として如何なる者からも贈り物や便益を受け取らないものとする事を定める。もし誰か判決を求める者が他者に対して自分を利するような話をするために贈り物や便益を提供しようとし、あるいは話をひっくり返す事が出来る様に何かを行う事を忌避しようとするのであるならば、彼は罰せられない事がないものとする。」

「もしある者が他者の無知を好きなように利用し、または白痴との取引から利益を得るのであるならば、彼は三倍の被害弁済をするものとする事を定める。もしある者が他者を欺いて損失へ至らせ、または暴力や脅迫によって他者から何かを取り上げるのであるならば、彼は三倍の被害弁済をするものとする。」

「もしある者が他者の損失に対して虚偽の断言をするのであるならば、その損失は現物でその価額の二倍償われるものとする事を定める。もしある者が彼に物を預けていた他者を欺くのであるならば、彼は二倍の被害弁済をするものとする。もしある者が家畜や生命を持たない物の取引をし、それらを取り扱う者に支払いをするのであるならば、かつそれらを取り扱う、または所有する者がそれらを失い、または引き渡す事が出来ないならば、彼はその価額を被害弁済をするものとする。もし彼が判事たちによってその取引において不注意があると認められるならば、彼はその価額の二倍までを被害弁済するものとするが、もし彼が待ち伏せされたり人間では如何ともし難い力によって打撃を受けるのであるならば、彼は支払いをしないものとする。」

「もし書記が記録を改ざんしまたは虚偽の記述をするならば、彼は三十回の鞭打ちで罰せられるものとする事を定める。もしある者がその書記の為に損害を被るのであるならば、その損害はその価額の二倍として償われるものとする。誤った事を行いまたは何か損失を引き起こす者であって、それが意図的に行われたものであれ意図的ではなく行われたものであれ、無実である他者の責めに帰そうとする者は、自分の行いの罪を負うものとする。彼は自分の欺瞞について罰せられない事はないものとし、そして彼が責任を押し付けようとした者に対する支払いを行うものとする。」

「もしある者が女中や(女)奴隷を有し、結婚の為に彼女を息子へ与えようとするのであるならば、彼は彼女を娘として扱うものとする。もし彼が下男や女中を出血する程にもしくは動けない程に強打するのであるならば、あるいは彼らが三日間に渡る痛みを受けるのであるならば、彼は判事たちの前へと連れていかれ、判事たちは彼の行いについて判決を下し、そして傷ついた者への正義をもたらすものとする。相応しくない主から奴隷を解放して奴隷もしくは自由人の何れかとして他の主の元へ配置する事は判事たちの権限の内にあるものとする。」

「もし主が死に、彼の全ての血族が不在であるならば、彼の召使または奴隷は遅滞なく彼らを呼びにやるものとする事を定める。もしその召使または奴隷が死んだ者より生命のある物または生命のない物を盗むのであるならば、彼は鞭打ちを受けるものとする。もしこれが召使であるならば、彼は奴隷とされるものとする。もし死んだ者と同じ血族の者が盗むのであるならば、彼は相続を否認されるものとする。もし彼が相続していなかったのであるならば、彼は二倍の被害弁済をするものとする。」

「もし主の召使や奴隷が結婚を望むのであるならば、主が彼らが未婚のままでいることを認めないものとする事を定める。結婚の年齢を超えた子を持つ如何なる男や女も、彼ら自身の身勝手の為に結婚を禁じるべきではない。自分の子が子無しで置かれない事を見届けるのが彼らの義務である。子の父や母に対する義務は大きいものであるが、結婚すべき義務はより大きいのである。もしある者が彼に忠実に仕え立派な者である奴隷を有するのであるならば、その主はその奴隷を自由の身として召使として使える様にすべきである。奴隷を確保する事は禁じられていないが、それは美徳ではなく、本当に正しい者は貧しい者の為の仕事を見つける事によってその貧しい者を支えるのである。土地が身分の低い者たちや奴隷たちによって耕される広範な部分に分割されている時、それは愚かな状態であり、詐取の準備が整っているのである。人々は骨折りと苦役で非常に虐げられると、男らしさを喪失し、それは彼らの虐待者に向かって歯向かわせることになり、その土地を侵略する者たちに反抗しようという腹を持とうとはしないであろう。しかし、その土地が平和を維持しようと侵略されようと、最早偉大ではないのである。」

「被相続人の遺産はその人の息子らだけに渡るのではないものとする事を注5定める。というのも、娘らも自分たちの分け前を否認されることはない。被相続人に息子がいないならば、その遺産は妻たちや娘たちへと引き渡されるものとする。もし被相続人に妻や娘がいないならば、遺産はその兄弟たちへと引き渡されるものとする。もし被相続人に兄弟がいないならば、遺産は姉妹たちへと引き渡される。もし被相続人に姉妹もいないならば、遺産はその父の兄弟たちへと引き渡される。もし被相続人の父に兄弟がいないならば、遺産は血縁関係で次に近い者へと引き渡されるが、女性は除外される。」

「もし息子または娘が養子にされるのであるならば、彼らは、養子をとった者とまるで同じ血族であるかのように扱われなければならないものとする事を定める。血族として結束する者たちは、自分たちの分け前を法令によって与えられる訳では無い。というのも、人は自分自身の血族について最も良く知っているからである。ある者が宣言する相続分は、その者の全ての理由が知られているのであるならば、公正であるものとする。もしそれが公正ではないと思われるのであるならば、判事たちが決定する事が出来るが、判事たちは、その被相続人が自分の血族を最もよく知っている事を留意すべきである。」

「遺産を有する如何なる女性も、「光の子ら」(Children of light)以外の男性と結婚しないものとする事を定める。もし彼女がそうするのであるならば、彼女の所有財産は彼女と共に持参することはないものとする。男性は彼の両親の相続分を忘れるべきではない。」

もし相続財産とその分け前について証言する者が、他の者の損失となるようにそれに変更を加えるのであるならば、彼は二倍の被害弁済をするものとし、罰せられない事が無いものとする。もし証言をする者が、死んだ者(被相続人)が誤りを為した事を懸念し、それを調整しようとするのであるならば、彼が公正に取り扱うとして、何の咎めもないものとする。」

「もしある者が妻子無しで死ぬのであるならば、彼の遺産は彼の母や父へ渡り、そして彼らが死ぬときには、被相続人の兄弟姉妹へと渡るものとする事を定める。もしある者が妻たちを有し、子がいないのであるならば、その遺産は妻たちのものであるが、もし被相続人の父母が生きている間に妻の一人が死ぬのであるならば、彼女の相続分はその父母たちへ渡るものとする。」

「如何なる者も、彼が善良であり正しく、かつ白痴でないのであるならば、その相続分を否定されることが無いものとする事を定める。被相続人の遺産は彼の血族たちの間で公平に分配されるべきである。」

「もしある妻が死にそして遺産を有するならば、彼女の夫の相続分は半分とするものとし、残りの半分については、彼女は、自分の父母または彼女の兄弟姉妹へと残すことが出来る事を定める。しかし、もし被相続人が子供たちを有するのであるならば、その残りの半分はその子供たちのものとする。」

「もしある者が死に、そして妻または子供たちがあるならば、彼らはその住居から追い出されることが無いものとする事を定める。もしその妻が再婚し、そして子供ではない夫の血族の誰かがその住居の中にいるのであるならば、彼女はそこに留まる事は出来ないものとする。」

「死んだ者の妻たちは一年の後に再び結婚できるものとし、再婚において彼女たちには何の制限も置かれる事がないものとする事を定める。」

「如何なる者も自分の娘や他の任意の女性を宣誓させて未婚のままとさせてはならないものとする事を定める。同じ父母である子供たちの間の争いは、流血よりも悪い事である。次の事は自分の息子に対する父の義務である:彼に技術を教える事、彼に自分自身と妻子の守備を教える事、「聖なる書物」(Sacred Books)の知識を彼に教える事、そして息子の妻を見つける事。次の事は自分の娘に対する母の義務である:彼女に家事と子供の世話を教える事、彼女に衣類の技術を教える事、「聖なる書物」(Sacred Books)に従って彼女に女性的な美徳を教えること。父は一人の息子を他の子たちよりもえこひいきすべきではない。子供は、話せるようになったら直ぐに、「聖なる書物」(Sacred Books)で教えられなければならない。妻は穀粉を準備してパンを焼き、食べ物を調理して飲料を調合し、薬草を集め、洗濯をして衣服を繕い、自分の住居を整理して清潔にすべきである。妻は自分の夫を満足させる為に全ての物を作り、また全ての事を為す事が出来るべきである:子供たちに乳を飲ませ、そして亜麻布、毛、陶器、かご細工、つづれ織りの作業を行う事。もし妻が一人の女中を自分の父の家から連れて来るのであるならば、妻はその女中に最も重要でない仕事を割り当てるが、どれだけ多くの女中が彼女に付き添っていようと、妻は自分の子供たちの世話や教育を決して怠ったり、暇を持て余すべきではない。自分の子供たちが我がままで手に負えない貧しい女性たちの言い訳があるが、子供たちに全ての時間を費やしている豊かな女性にはそのような言い訳はない。子供たちや夫は妻の最も大きな義務であり、また最も重要な関心事なのである。自分の妻に怠惰や暇を認める夫は、彼女を不倫へと向けさせる。妻無き男は男らしくないといって差し支えないが、不貞な妻を有する者は間違いなく男らしくないのである。」

「男は、自分の娘がまだ若いうちに彼女が結婚するという約束を行わないものとし、その娘が自分の選んだ相手に対して「はい」または「いいえ」と言う事が出来る年齢まで待つものとする事を定める。役に立たない妻やみだらな妻、他の男たちの前で自分自身をみだらに露にする妻、あるいは過度に不経済な妻は、自分自身の家庭内で奴隷とすることが出来るが、家庭外に売り渡す事は出来ない。女は、判事たちの判決によってより下位の妻となることが出来る。結婚の誓約は死まで維持されるものとされる事を意図しているのである。」

「もしある者がその妻と離婚し、そして彼女が良い性格であるならば、彼女が再婚するまで、彼は自分たちの住居を離れるか、または別の適当な住居を提供するものとする事を定める。夫と妻は立ち入られないものとし、そして彼らのお互いの楽しみは他の如何なる者によっても妨げられることはないものとする。あらゆる子供は妥当な住処、寝床、食べ物、教育、そして指導を受けるに値する。もし子供に両親がおらず、あるいは彼らが役に立たない事が判明するのであるならば、判事たちはその子供の為の保護者を指定するものとする。もし未婚の女性が子を宿すのであるならば、それは判事たちの前へと呼ばれるであろう彼女の父にとって不面目となるであろう。もしその女に父が居なければ、その女の母または兄弟またはその世話をする者が呼ばれる事になる。もしある妻が信頼されたり、自分の誓約に対して忠実であり続けたりする事が出来ない事を恐れるのであるならば、彼女はその夫を欺くことが無いものとし、自分自身を偽りなく言明し、そして夫が妻を追放するかしないかを決心するものとする。もしその夫がその妻を手元に置く事を決心し、彼女が恥ずべき者であると判明するならば、彼女の罰は軽減されるものとする。不貞なる妻に対する罰はその行いによるのみならず、欺瞞に対しても果されるのである。」

「もしある者が自分の妻と離婚するならば、判事たちの許可を得た後に結婚の誓約を新たにする事なく、彼らが再び一緒になることはないものとする事を定める。もしそのような行為がが為されるのであるならば、罰せられない事はないものとする。」

「もしある妻が夫のために自分の事を心配するのであるならば、彼女は、その幸福の為に有利な決定を行う判事たちの前へ出頭することが出来る。男たちはその妻たちを優しさと寛大さをもって取り扱うべきである。夫に忠実である事、他者のいる場で淑やかである事、そして夫の不在時に分別がある事は妻の責務である。妻は忠実であるばかりでなく、夫が妻の不実を疑うような原因を与えるべきではない。妻は、結婚は女性たちの利益と保護の為に定められたという事を決して忘れるべきではない。それ故に、妻たちはその制度を維持するより大きな責務を負うのである。姦淫を行う者たち注6には奔放な女たち、善良な男たちには善良な女たち、それが規則である!かようにして人類の大目的が前進して、災難が心から離れるであろう。責務と義務の道を歩む正しい人は健全で健康的な全ての物事が与えられる。彼は自分の子供たちに対して良き母となるであろう貞節な妻とだけ結婚すべきである。彼は心の清潔さをもってその妻と共に暮らし、姦淫の汚点無しに妻に対応すべきである。内妻を養う事は完全に良い事ではないが、不貞な女はそのように保つことが出来るし、もし奴隷であるならば寝床を共にさせることも出来る。」

「男と女が離婚を求めて判事の面前に来る前に、彼らの血族の者たちの間で会議を開くものとする事を定める。妻の血族の男または女一人と、夫の血族の男または女一人が席を占めるものとし、その間に、彼らを熟慮する彼らの血族以外の他の者を選ぶものとする。彼らが合意に至ろうとするようにし、善意をもって不和を修復するよう努力し、そして、もし誰かが不満をもつならば、それは隠し立てされるべきではない。」

「あらゆる結婚の前に、公衆の場で婚約の告知があるものとする事を定める。もし誰かがその男または女に関して彼らが気に入らない何かについて言う事があるのであるならば、彼はそれを彼らの最も近縁の血族と立会人に申し立てるものとする。もし自分の心の中に言うべきことを何か隠している者が誰かいるのであるならば、あるいは結婚の後にそれについて話すのであるならば、彼は罰せられない事はないものとする。」

「もしある者が、正当な理由も無く婚約している女が不貞であると言うのであるならば、彼は二十回の鞭打ちによって罰せられ、そしてもしその女がそうであるならば、彼女は二十回の鞭打ちをもって罰せられるものとする事を定める。もしある者が、婚約した女が不貞であることを知っていて、かつそれを公知のものとする事が出来ないのであるならば、彼は四十回の鞭打ちで罰せられ、判事たちが決定する通りに払い戻しをしなければならない。もしこれが女であるならば、彼女は三十回の鞭打ちを受けるものとする。結婚は、婚約の後七週間経過するまでは実施してはならないものとする。この期間に渡って姦淫は犯されないものとする。というのも、それは結婚の裏切りであり、そして貴方の魂は自分の行いを証言する。」

「男が自分だけの妻を取って新たに結婚する時は、一年の間は、武器を手に取ったり自宅から離れて勤務したりする事を要求されないものとする事を定める。もしその男が連れていかれるのであるならば、彼はその妻と引き離されてはならない。結婚は肉体と肉体の結合であり、霊が別の霊に接触する結合である。結婚には二人の男と二人の女が立ち合い、男が女に指輪、腕輪、そして銀一片を送り、女が男に頭髪と織布一片を送ることによって、人々の前で宣言されるものとする。」

「淫らではない全ての女たちは結婚のために確保された女たちである事を定める。彼女たちは、礼儀をわきまえた振舞いの、そして姦淫や詐欺のない妻たちとして求められるものとする。彼女たちをそそのかす男は罰せられない事は無いものとする。男が、自分の要求が断られる時期に女に結婚を申し出る事は悪い事ではない。結婚の約束は秘密裏に為されないものとする。というのも、そのような約束はしばしば不面目や欺瞞をかばうからである。」

「もしある者が姦通や猥褻さのために自分の妻を告訴し、そして他の証人がいないのであるならば、彼は、自分の不滅なる魂に対して、自分は真実を話しているのだと三度誓うものとする。彼の訴えは受理されるものとする。というのも、もし彼が虚偽の誓いをするのであるならば、彼は自分自身と自分の魂を最も悲痛な罰へと追い込むのである。しかし、もしその妻が同様に、その男によって誓われた言葉が虚偽であったと誓うのであるならば、どちらが自分の魂を呪ったかを決めるのは、判事たちの面前においてではないであろう。両者とも自分の道を行くものとし、そしてもし一方がもう一方に話しかけるのであるならば、その者は罰せられない事は無いものとする。彼ら両方が話すのであるならば、両者共に罰せられるものとする。判事たちは両者に関する報告を受けるものとし、もし彼らのうちの一人が正しい人生を生きる事を止めるのであるならば、その者は追放されるものとする。」

「もしある者が何の重大なる悪事をもなさぬ女と離婚するならば、彼は六か月の間、彼女の血族の家庭の中で彼女を支援するものとする事を定める。もしその女が子と共に在り、そして彼女がその子をその父から隠しているのであるならば、彼女は罰せられないことはなく、彼女と共に居住する者たちも同様であるものとする。もし彼女が子供と共に見出されるのであるならば、彼女は好意と思いやりをもって取り扱われるものとし、そしてその子の血族たちはその母と父の間で調停を求める事が出来る。両者がもう一方に対して公正に、正しく、そして誠意をもって振舞わなければならない。」

「もし妻が一度離婚させられて出戻ることが出来たが、再び離婚させられるのであるならば、彼女は出戻ることは出来ないものとする事を定める。男が結婚している間に彼女に与えた物は、彼女のものであり続ける。如何なる重大なる悪事を犯すことも無く離婚させられた女は、彼女の夫によって親切にかつ気前よく取り扱われるであろう。子供が姦通によってできた子でない限り、子供を抱いている間または子供に授乳している間に女は離婚させられないものとする。もしある者が「光の子らの選ばれし者」(Elect of the Children of Light)と共に高い官職へと呼ばれ、そして彼の妻が霊的な事柄よりも地上的な事柄を好むのであるならば、彼らは正当で公正な離婚に合意する事が出来る。そのような女は重荷であろう。というのも、彼女の魂は暗黒と共に重たいものであるからである。」

「もしある者が自分の妻を離婚させるならば、彼は彼女に何の制限も果さないものとする事を定める。彼女は彼の世継ぎを自分と共に持ち出さないものとし、そしてもし子供たちが彼女と共に行くのであるならば、その子たちの父が食い扶持を持ち、衣服を与えるものとする。真の男は相当な備えを築き上げるものだ。」

「もしある者が乙女をたぶらかすのであるならば、彼は彼女が自分の妻であるかの如く彼女に物を授けるものとし、また妻に支給すべき全ての恩恵を彼女に贈与するものとする事を定める。彼は、例え彼女の父が彼から彼女を引き離していても、これを実施するものとする。」

「もしある者が自分の妻が売春婦になる事を許容するのであるならば、彼は妻を娶るに相応しくないと宣言されるものとし、結婚しないものとする事を定める。彼の妻は彼が妻を持たぬように引き離されるものとし、そして彼は罰せられない事はない。もしある者が自分の娘が売春婦になる事を許容するのであるならば、彼は死ぬものとする。」

「ある女が自分の同意の元で欲望の虜になるかもしれない場合に、もしそれが為されるのであるならば、男女両方が等しく罪を負うものとし、そして何れももう一方よりも多くの罰に値するということはない事を定める。しかし、もしその女が子供または白痴であるならば、あるいは彼女が判事たちによって保護されているのであるならば、それはまるで彼女が同意なく強姦されたものとして扱われるものとする。ある女が力によって襲われるならば、その行為は死をもって罰せられる。もしその行為が、野原や女性が人々の住処から出かける場所、または森や未墾の土地、または誰も彼女の悲鳴を聞く事が出来ない場所において為されるのであるならば、別な具合に証明される事が無ければ、その行為は彼女の同意なく行われたものであると判事たちによって解釈されるものとする。しかし、その女は自分が一人だけでいた事を説明するものとする。もしその行為が街中の居住地の間で行われるのであるならば、そしてその女が、何の助けも呼ばずまた悲鳴を上げる事も無かったのであるならば、死や武器による手足の切断で脅迫されているのでない限り、彼女は同意したと受け止められるものとする。何の格闘も無かった所では、それは彼女の同意があったものとみなされる。というのも、男は、女の意識がある間に彼女の同意なく彼女を抱くことは出来ないからである。」

「もしある者が自分の息子の妻や自分の妻の母と姦淫を犯すのであるならば、両者ともに投石によって死ぬものとする事を定める。もし結婚した女が姦淫を犯すのであるならば、その女と彼女が姦淫を犯した相手の男の両者は死ぬものとする。夫は自分の妻を受け戻す事が出来るが、もし彼がそうするのであるならば、彼が人々に堕落をもたらすといけないので、彼は人々から追放されるものとする。ある女が姦淫から受け戻されるならば、共同責任を負う者は死なないものとするが、罰せられない事はないものとする。姦通者の男女を審判する時は、その売女と密通者については、同情の余地なく厳格に裁く事にせよ。というのも、彼らは愛の敵対者であるからである。彼らは人間を獣たちの間に戻してしまう。密通者は貞節な女と結婚すべきではないが、禁じられている訳では無い。売女は「光の子ら」(Children of Light)の間で結婚してはならない。密通の罪は容赦できないものではなく、長年に渡り心からの悔恨を示す者たちは「光の子ら」(Children of Light)へと受け入れられて戻る事が許される。飢えた子を食べさせる為に売春婦となる女は大した悪を働いている訳では無い。その罪は人々によってもたらされているのである。」

「如何なる者も奴隷の女を姦淫に引き込む事を許容してはならなず、また、奴隷の女が慎み深くあり、無節操でない状態とする事は彼の義務である事を定める。もし、結婚後、奴隷たちが姦淫を犯すならば、彼らは自由人と同程度に罰せられないものとする。というのも、彼らは奴隷として育てられたからである。奴隷たちの罰が軽いものであるとしても、もしその奴隷が彼の主人の怠慢のために罰を請け合うのであるならば、その主人は罰せられる事がある。」

「男性は、既婚女性と事を為すのでない限り、姦淫の罪を問われる事が無いものとする事を定める。もしある女に、彼女の淫らな行為について、彼女の意見に反して三人の目撃者があるのであるならば、あるいは、彼女がそれを否定しないのであるならば、彼女は誰も彼女の元へやって来ることが出来ない場所へ一人で監禁される。そこで、彼女は自分の食べ物の為に編み物をするか(他の)仕事をするものとし、そしてもし男が彼女と寝る為にそこへやって来るのであるならば、それが誰であっても、彼は罰せられるものとする。もし判事たちが決定し、そして、その女を管理する義務と共にその女を引き受ける意思のある者が見つかるならば、その女はその者の奴隷となっても差し支えない。もしある売女が、自分が監禁されている場所や自分の主から逃げ出すのであるならば、その女は死ぬものとする。」

「もしある者に乙女である奴隷の女があり、かつ妻にしようとしている自由民の女があるならば、彼はその奴隷の女と共に寝てはならない事を定める。もしある者が奴隷(の女)と共に寝て注7、そしてその女が子を孕むのであるならば、その者はその奴隷の女を売ったり、その女への支援を止めたりしてはならない。もし女の奴隷が他の主の奴隷の男と結婚するのであるならば、その奴隷の女の主は彼女を不当に留めてはならず、彼女の夫の主と会って、彼女に関して公正で正当な手筈を整えるものとする。」

「淫らな行為に対する罰は二年以上とならないものとする事を定める。もしある女が姦淫について告発され、彼女に対して三人の証人がいるのであるならば、その女は淫婦として取り扱われる。乙女は男を求める淫らな行為によって罪となろう筈がない。」

「「光の子ら」(Children of Light)は自分たちの召使または奴隷、または同胞の間の無知なる者たち、彼ら自身の神々を否定しないものとする事を定める。というのも、彼らはより良い光を有しないからである。燃えさしのかすかな赤熱でさえ暗闇の中の子供を安心させるのであり、彼らはそのように安心させられているのである。神々「テロス」(Teloth)、「ヨール」(Yole)、「ヤーウエルワ」(Yahwelwa)、「ベル」(Bel)、「ベハリム」(Behalim)、「エリム」(Elim)そして全てのより劣った光の神々は、より強力な光によって盲とされたであろう者たちの役に立つ為に、街やその周囲の地に祀堂を有して差し支えない。全く光が無いよりも、腐朽した木から発する赤熱がある方が宜しい。「ネジル」(Negil)、「ムドゥ」(Mudu)、「ハニ」(Hani)、「ネフリム」(Neflim)そして暗黒の神々については、召使いたちや奴隷たちや無知なる者たちに許さないものとする。しかし、よそ者はその神を否定される事は無いものとする。というのも、「光の子ら」(Children of Light)は自分たちの光を否定される事はなく、かつよそ者たちの間で平和に居住しているからである。」

「もし異邦人の口が女性たちの面前で淫らな話題に逸れるのであるならば、あるいはその者が女性たちに好色な目を投げかけるのであるならば、その者は話しかけられて忠告を受けるものとする事を定める。もしその忠告が留意されないのであるならば、女性たちがその美徳を確固たるものとし、男性たちの間で敬意を払われるように、その異邦人は放逐されるものとする。欺瞞が美徳として重んじられ、虚栄が女性的な魅力であるとされる異邦人の地では、慎み深く控えめな女性たちに関する理解には及ばない。男性たちはあるがままの女性として女性を扱う。それ故に、女性たちは男性たちの一瞥を抑制させて、慎み深さをもって振舞わなければならない。女性たちは体の多すぎる部分を露にしたり、あるいは上着以外の衣類を見せるべきではない。女性たちは裸の胸を見せるべきではない。女性たちが他の女性たちの前や、あるいはいずれ男性として成長するが、大人の話の年齢にまだ達していない若い子供たちの前で服を脱ぐことは、誤った事ではないものとする。」

「もしある妻が男たちの面前で猥褻の罪を犯すならば、あるいは自分に欲情する様に男たちを挑発するのであるならば、その妻はその夫によって罰せられない事は無いものとし、またその妻は相続の権利を失う可能性がある事を定める。もし誰かが判事たちに彼女について苦情を申し立てるのであるならば、彼女について説明する為に彼女の夫が判事たちの前に呼び出されるものとする。もし乙女が猥褻の罪で立証されるのであるならば、その父または保護者は罰せられない事は無いものとする。もしある者がそのように罰せられるのであるならば、彼はその乙女や妻に恨みを晴らさないものとする。というのも、過失は彼らにのみあるのではなく、彼は男らしく自分の責任を負わなければならないからである。娘たちの心が離れない様に娘たちを優しく扱うのは良い事である。何か娘の悪い事で娘を叱る時にも、彼女の良い点を見過ごさないようにせよ。もし、高い地位にある者の妻が何か猥褻さや他の女性的でない事で有罪となるならば、彼女の罰は倍となる。というのも、彼女はその責務に相応しくないからである。」

「もしある者が貞淑ではあるが軽率な女性を中傷するのであるならば、彼は判事たちの前に出頭して自分の言葉の真実を誓うものとする事を定める。もし彼が拒否し、あるいは彼の言葉が彼に反して証明されるならば、彼は罰せられない事が無いものとする。もし、その者が宣誓するならば、その女性は判事たちの前に連れ出されて、彼の言葉が偽りである事を同様に誓うものとする。もし彼女がそれを拒否するのであるならば、彼の言葉が確定する。もし、両者が宣誓するのであるならば、彼らは退出するものとするが、一方の魂が自分自身を有罪として罰をもたらした事になる。」

「ある女性の年齢が子を産める年齢を超えた時には、彼女が淑やかさの品位を落とさず、あるいは離婚している事を条件として、淑やかさの上着を捨て去るとすれば、それは悪い事ではないものとする事を定める。彼女は、女性が通常露にしない体のある部分をあらわす様にそれを為さないものとする。彼女はまた、不器量さをもあらわさないものとし、彼女が行う事は端正にそして上品に為されなければならない。どのような奴隷の女であっても、どんな猥褻な行いをもさせられる事が無いものとし、彼女の淑やかさは敬意を払われなければならない。もし彼女が猥褻さや下品さを強制させられるのであるならば、彼女には何の罪も無いものとするが、彼女を強制した者は罰せられない事が無いものとする。女性に関する猥褻な会話や下品な言葉は罰せられない事が無いものとする。」

「自ずから死んだまたは他の獣によって引き裂かれた獣の脂肪は使用して差し支えないが、如何なる方式であっても食されておらず、あるいは死体の上に置かれていない事を条件とする事を定める。その死肉は他の獣が食べる為に与えて差し支えないが、如何なる部分であれその死肉を、他の者にそれと知らせる事無く与えるのであるならば、それを与えた者は罰せられない事が無い。如何なる者もハヤブサ、コンドル、ワシ、カラス、ワタリガラス、トキ、フクロウ、タカ、ペリカン、あるいは水を渡る鳥、それとその体の高さよりも長い足を有する鳥の肉を食してはならない。次の這うものは食してはならない:甲虫、カタツムリ、アリ、ナメクジ、バッタ、あらゆる種類のシラミ、指の関節よりもサイズが小さい全ての這うもの、そして足を持たずに地面を這う全てのもの。猫、犬、ネズミ、モグラ、イタチ、そしてキツネを食べる事を禁ずる。過食は飢餓と同様に有害である。断食は空虚な行いではなく、霊と肉体両方にとって健康に良い。断食は節制や倹約と同様にしつけと自制を教えるのである。正義の船倉が揺れる所では、食べ物に決して事欠く事は無い。食べ物はゆっくりと満足して食せよ。というのも、落ち着かない胃袋は食べ物の味と滋養分を奪い去るから。過食する者はそこまで頭がまわらない獣よりも悪い。もしある者が食べ物を汚染するのであるならば、彼は罰せられない事が無い。」

「もしある者が他の者の地から水を盗んだり、またはその水をこぼして失わせたりするのであるならば、あるいは彼がその水を汚染するのであるならば、彼は罰せられないことが無いものとする事を定める。もし損失があるのであるならば、その者は三倍の被害弁済をするものとする。死体が入っている水は飲料として使用してはならない。人はワインまたはビール、あるいは健康に悪くない如何なる物を飲んでも良いが、自分が自制心や品位を維持する事を条件とし、それ以上は認められない。自分が口にした何かを原因として他者との争いや他者への害悪を引き起こす者は、罰せられない事が無いものとする。手を邪な事に染めるのでなければ、適量のワインを飲むことは悪い事ではない。如何なる果実のなる木も、それが実を結ぶ事を止めたり死んだりするまでは、切り倒してはならないものとする。」

「如何なる者も死んだ獣を処理しないで放置してはならない事を定める。もし彼がそうするのであるならば、彼は罰せられない事が無いものとする。というのも、もしその死体が食されまたは利用されないのであるならば、それは埋めなければならないからである。もしある者が貯蔵穴や保存した穀物の間に何か悪臭のある物を置くのであるならば、彼は四倍の被害弁済をするものとし、罰せられない事は無いものとする。」

「如何なる者も自分の肉を装飾の為に切除したり、取り除く事の出来ないどのような印も皮膚の上に刻んではならないものとする事を定める。しかし、男女の耳に穴をあける事は差し支えない。異邦人の慣習のような割礼は不具にすることであり、それを禁じる。」

「如何なる者も金貸し業に従事してはならない事とし、公平と節度をもって人々に対応するものとする事を定める。支払いと懲罰は判事たちによって決定されるものとする。」

「如何なる者も呪文を扱う者や死者の霊を呼び出す者と交際しないものとする事を定める。もしそうするのであるならば、彼は罰せられない事が無いものとし、そして妖術を行う者たちは追放されるものとする。」

「如何なる者も重さや寸法で不正を働かないものとし、そしてそのような不正を行う者は三倍の被害弁済を行うものとし、かつ罰せられない事がないものとする事を定める。如何なる者も自分の血族である他者の不運に乗じてはならないものとし、彼らの家、畑、獣あるいは生命無きあらゆる物を自分自身の利益の為に購入してはならない。如何なる者も利子を付して自分の血族である他者や友人へ貸付を行ってはならない。というのも、このような事は多くの紛争の原因であるからである。」

「もしある者が、他の者が仕掛けたわなから獣や家禽や魚を取り去るのであるならば、彼は盗んでいるのである事を定める。もしある者が木の頂から果物を収集しているのであるならば、それは地上へ落ちて来るどのような物でも我がものとするが如く盗んでいるのである。もしある者が何かを借りてそれを売り払うのであるならば、あるいは他の者に所属する自分の管理物件の何かを売り払うのであるならば、それは盗んでいるのである。もしある者がこれらの事の何れかを行うのであるならば、彼はそれらを盗んだが如く被害弁済を行うものとする。」

「もしある者が獣または生命ある何かまたは生命無き何かを他者から受け取るのであるならば、そして両者が正当な目撃者を持たないのであるならば、それが売られたのであれ譲渡されたのであれ、両者は判事たちが定めるように支払いを行う事によって罰せられるものとする。」

「如何なる者も、どのような獣であれ、それが生きている間に生きている肉を切り出したり、四肢や獣の皮を除去したりしてはならない事を定める。そして、もし彼がそうするのであるならば、彼は罰せられない事が無いものとする。生命の法は、人は食し、そして獣は食料として殺される事を求めるが、それは獣にとって最小の痛みと苦痛とをもって為されるべきである。如何なる獣もその受難の楽しみの為にいじめられてはならないし、惨たらしく拘束されてはならず、そのような事を行う者は罰せられない事が無い。獣とその幼い仔は、お互いの目に入る所や、一方の血の臭いがかぎ分けられる所で殺されてはならない。如何なる者も、自分が担当する獣が準備されず、世話の行き届かない状態では、飲食のお相伴をすべきではない。」

「もしある者が武器を携帯する権利無く武器を携帯するのであるならば、彼は三十回の鞭打ちで罰せられるものとする事を定める。もし他の者が不法に血を流すように傷つけられるのであるならば、如何なる損失についても被害弁償が為されるものとし、そして判事たちの決定に従って支払いが為されるものとする。もしその権利無く武器を携帯する者が他者に重大な傷害を負わせるのであるならば、彼は死ぬものとする。降伏して武器を投げ出した者や女子供を殺すのは卑劣な事である。自分の力に手も足も出ない者や囚われの者を拷問する事は卑劣な事である。そういった事は恥ずべき事である。捕虜は堅固と尊厳をもって取り扱う事。戦いの時には、貴方の思考を戦利品の上に持ち上げて、報償として「天界」(Heaven)に目を配る事。平和は全ての者たちが従う正しい道ではあるが、何が何でも平和というのは勘違いである。それ故に、戦いの正義を掻き立てる平和の男となるのがより良いと言って差し支えない。勇気ある男たちは百のより小さな勇気に打ち勝つ事が出来る。心の中で平安をもって、遺憾の意で戦いの準備を行うが、大義の為に断固として推し進める事。獲得や損失、前進や撤退、勝利や敗北にも拘わらず、貴方の心の中で平安であれ。「何が何でも平和」と叫ぶ平和な男は戦争を妨げない。彼はただ脇にどいていて、敵を殺しあるいは敵に殺される者を前線へと投じるのである。それは卑しむべき事であり、彼が自分の場所を占めていた場合よりも悪い事である。」

「もしある男または女が負債や支払いの為に他の者に束縛されているのであるならば、彼らには食事や衣類が与えられるものとし、そして風雨をしのぐ住処を与えられるものとする事を定める。彼らは打擲されたりまたは酷い扱いを受けたりすることが無いものとするが、彼らは全日の仕事を行うべきである。彼らの暮らし向きは判事たちの手にあるものとする。」

「もし二人の者が共にまたは一方が他方にもたれて同じ悪行を始めるのであるならば、一方が他方の力に従属している場合を除き、両者が同様に罰せられるものとする事を定める。」

「金員の為に実施する「運がものをいう競技」は、程々に行われるだけに留めるものとし、そしてもし不正を働くまたは不公正に競技を評価する者がある場合は、彼は罰せられない事が無いものとする事を定める。」

「「光の子ら」(Children of Light)たる如何なる男性または女性も、そうではない相手と結婚してはならないものとする事を定める。というのも、そのような行いは彼らの子供たちに対する悪い事であり、その子らのしつけが引き裂かれるからである。自分の主と同じような信仰を有する奴隷の女性は、例えその自由人の女性がより愛想が良いとしても、その主と同じような信仰をも持たぬ自由人の女性より、相手としてより相応しい。如何なる者も自分のおとめなる娘が「光の子ら」ではない男と結婚することを許してはならない。例えその奴隷の男が娘の父にとって歓迎しがたいとしても、廉直であり光の中を歩む奴隷の男の方がより(娘の相手として)相応しいであろう。」

「もしある者が孤児または自分が世話をしているその他の者たちから、彼らの物を徴収するのであるならば、それが理由なくまたは自分自身の利益の為に行うのであるとしたら、彼は罰せられないことが無いものとし、また二倍の被害弁済を行うものとする事を定める。彼は彼らが結婚する権利を否定してはならないし、またもし彼らの一人が男であるならば、自分自身で生計を立てる権利を否定してはならない。もしある者の血族の男女が、彼らが白痴または不具である事情によりその者の扶養にあるのであるならば、彼ら自身の暮らしの為の責任の重責が彼らの上に降りかからないようにせよ。彼らを危害から避けさせて、食物で彼らを支え、そして衣類で彼らを養う事。裕福であり力を有する者は、困窮した者たちや苦しんでいる女たちを生活の苦しみや男たちの手管から保護する義務を有するのである。」

「もし誰か男または女が死ぬのであるならば、それが誰であっても、その血筋で彼または彼女の次に位置する者たちは、その死骸の処分に対して責任を有するものとする事を定める。この世を発った者が「天」(Heaven)においてそのエキスを使うことが出来る様にその死体を焼く必要があると言明する者たちは、空虚な迷信に関わっている。」

「もし誰かが神殿の聖域の中に隠れ場所を求めるのであるならば、彼らのその行為は拒否してはならないし、そしてもし誰かがこの聖域に侵入するのであるならば、彼らは罰せられない事が無いものとする事を定める。その聖域における勤めは減じられてはならない。」

「一つのログア(logua)の中の容積は12個の割れた卵の殻に含まれることが出来る水の量に等しいものとすることを定める。銀1シェケル(shekel)の重さは、一年の日数によって数えられた大麦の粒の量に等しいものとする。1キュビット(cubit)の長さは、48粒の大麦の長さに等しいものとする。これらの事から、全てのものの重さが測られ、その長さが測られるものとする。」

「人は法律に違反していると宣言されることが出来るものとし、その時にはその者は法が果たす全ての制限や刑罰を免れることがないにも関わらず、法の便益や保護を一切享受する事が無いものとする事を定める。もしある者が完全に法の適用を受けないと宣言されるのであるならば、他の如何なる者も彼に話しかけたり、食物、衣類または住居を提供してはならない。もしある者が無法者と宣言されるのであるならば、彼は人前で殺されるであろう。追放されたとしたら、もし彼が追放された場所から戻って来るのであるならば、彼は殺されるであろう。」

「如何なる者も、どの様な神であってもその偶像を作成したり、神の似姿であるどの様な物をも作成してはならないが、美しい物は全て作成する事が出来ることを定める。品位をもって為され、そして猥褻さがないとの条件において、男性、女性または野獣の似姿や見た目を帯びるどの様な物でも作成する事が出来る。」

「もしある者が他者を毒殺しようと試みるのであるならば、それが誰であっても、それが成功しなかったとしても、その者は死ぬものとする。毒殺者の行いに協力する者やそれを隠そうとする者全てもまた、死ぬものとする。」

「もしある者が自ら命を絶つのであるならば、誰であっても、その者は三日の間は埋葬されたり火葬されたりしてはならない。」

「もしある者が息子や娘、そして申し出ることが出来る彼自身の血族を持たずに死ぬのであるならば、彼の妻が再婚した後に生まれた息子や娘がその者の相続人となることが出来る。」

「「正義」(Justice)や「真実」(Truth)は判事たちが保管しているのではない。それらは、太陽が他の人々に対する様に、判決を下す者たちに対して存在する。判事たちの前にやって来るあらゆる者は、自分が自分自身や自分自身の血族たちに反して話すにしろ、「真実」(Truth)と「正義」(Justice)の光の中を歩むべきである。証言をする者は、自分が金持ちの側にあるか、または貧しい者の側にあるかを斟酌すべきではない。彼は、「真実」(Truth)の導きを見失わないように、激情の道や自分自身の先入観の道を辿るべきでは無い。「正義」(Justice)と「真実」(Truth)の大義を支援する知識を自分自身の中に隠して置く者は、自分自身の魂に不正義を負わせるのである。」

「判事たちによる性急すぎる判決は、しばしば不正義へと傾きがちである。それ故に、判事たちが全てを聞き、そして発言すべき権利を有する者たちによってあらゆる言葉が語られた時、判事たちは下がって祈るものとする。各判事が自分の心の中で言うべきである:「私は自分が話す前に自分の言葉を注意深く熟考します。そして、それらの言葉は「真実」(Truth)の純粋さの中で発言され、偽りや偽善によって汚されることが無いでしょう。私は、私の判決において厳しくはありませんし、そしてその判決は損失よりも利益に向かって傾けられるでしょう。私の判決は他者の保護へと向けられ、そして如何なる恨みや悪意の汚れも含みません。」


脚注

注1:原文は"There would beno need..."とあるが、"There would be no need..."が文法的に正しい記述であろう。

注2:"marat"という名詞が何を指し示しているのかは正確には不明であるが、カップの材質には違いない。

注3:原語は"bis father"。これは"his father"の誤りであろう。

注4:原語は"bis own use"。これは"his own use"の誤りであろう。

注5:原文は"It is decreed mat ..."。これは"It is decreed that ..."の誤りであろう。

注6:原語は"forncator"。これは"fornicator"の誤りであろう。

注7:原文は、"If a man he with a slave and..." 。これは前後の文脈からして、"If a man lie with a slave and..."の誤植であろう。"lie"が原形であるのは、このif節が仮定法現在であるからである。現代的な英語の用法ではif節は現在形となるが、Kolbrinのような古い英語では仮定法現在で表現する。

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