次の事は法廷筆記者によって書き起こされた判事たちの言葉であり、八百近くから残る全てである:
我々は、女がどのような事を行うにせよ、その女は自分の家庭から切り離されるべきではないという事を学んだ。というのも、それは他の害悪を引き起こすからだ。もし妻がその悪行の為脇へ追いやられるのであるならば、彼女を如何なる妻の権利もなく同じ屋根の下にとどめるのが良いであろう。
我々は、妻となるに相応しくない女たちがいるだけでなく、夫となるに相応しくない男たちもいる事を学んだ。もし結婚がそういった者たちに対しても自由のままであるとするならば、審判に列席する者たちは、どのような事が起ころうとも非難に値しない事はない。それ故に、男女はそれぞれ結婚を禁じられる事が出来る。
姦淫は詐欺と裏切りとして為される内密な行為であるという事は法である。もし男と女が姦淫の姿勢で発見されるならば、それは彼らがまるで姦淫を犯した所を押さえられたようなものである。(しかし)これは誤判断へと導きかねない。それ故に、姦淫の確信が見当たらなく、女が軽率な状態なのを見つけることが出来ただけであるならば、その女は姦婦として取り扱われる事はない。男たちは女の生まれつきの善良さを信じる方が、その逆を信じるよりも良いのである。しかし、女が何の疑う余地もないような姿勢に自分自身を置いたのであるならば、その夫は彼女を留めるかそうでないかを決める事が出来るが、自分でそれを宣言しなければならない。もしその夫が彼女を妻として脇へ追いやるのであるならば、判事たちが、彼女が退去するか家庭内に留まるかを命令するであろう。もし彼女が家庭内に留まるのであるならば、彼女はその夫に束縛されるが、もはや彼の妻ではなくなる。
我々は、姦通は愛に対する偽善的な献身を示しながら欺瞞を為す忌まわしき振舞いであるにも関わらず、それはしばしば予防可能な目標が無いという訳では無い事を学んだ。それ故に、姦婦は、自分の夫の世話にしばられる事によってより少ない罰を受ける事が出来るが、妻の立場は剥奪される。というのも、彼女はそれに値しないからである。それで、彼女は夫の世帯内に留まり、夫の指示に従う事になる。彼は彼女を保護し続けなければならないし、彼女がぶらつく事を許可してはならない。もし彼女がぶらつくのであるならば、彼は自分の思うように彼女を拘束する事が出来る。もし彼女が拘束されている間に姦淫を犯すのであるならば、彼女の夫であった男は非難に値しない。というのも、彼女は彼の拘束の元にあるからである。その三人は彼ら自身の罰を受けなければならない。
我々は、男たちが自分の安全や自分自身の妻の尊厳を心配する時には、彼らはより少なく他人の妻との姦通の行為をしたいと思う事を学んだ。それ故に、もしある者が姦通を行っている所を見つかって、かつ彼が結婚しているならば、彼は自分の財産の半分を喪失して不当な扱いを受けた夫へ支払い、また自分の注1妻はその不当な扱いを受けた夫の家へと入るであろう。または、もしその者が居所や土地のいずれかを有しないのであるならば、彼はその不当な扱いを受けた夫の管理に縛られるものとする。
我々は、人間たちの思考は迷宮のようであり、それ故に結婚の権利はその他全ての権利に対抗し、常に優先される事であると学んだ。結婚の結合で生まれた全ての子供たちは等しい権利を有する。子らの相続財産は、例えそれが姦通や近親相姦の結果得られた子であれ、減じられる事はない事になる。というのも、悪行はその子らのものではないからである。そのような子供たちは慈愛をもって受け入れられるべきである。というのも、彼らは無力であり、愛と献身によって完全に報いるであろうからである。
我々は、娘をよそ者に嫁がせてやるのは浅はかである事を学んだ。というのも、もし彼女の夫が死ぬならば、彼女は夫の父や兄弟へと与えられるであろうからだ。それ故に、結婚の契約内容が評議会の一人によって聴聞されて、彼の承認を得る事が無い限り、如何なる女もよそ者に嫁がせてはならない。
我々は、次のものは決して男から取り上げてはならないし、共有してはならない事を学んだ:
彼が姦通を犯した場合を除き、彼の妻。彼の子供たち。彼の衣服。彼の寝具、彼の武器、そして彼の工芸道具。
我々は、この地で豚肉を食する事を禁じる必要はもはや無く、豚肉の食用は可能である事を学んだ。しかし、馬の肉は餓死を防ぐ為以外の目的では打ち延ばさない事とする。
我々は、魂が最後の息と共に去ると、その死体に対して為されるどのような事であっても、魂には影響を与えないという事を学んだ。それ故に、死体は埋葬と火葬いずれかで処理する事が出来るが、高塚は死体や灰より上方に盛り上げない事とする。夫と妻、両親と子供、あるいは兄弟姉妹のみが墓地内の同じ墓所に埋葬する事が出来る。如何なる者も自分の住居内に埋葬を行ってはならない。
注1:原語は"bis"。これは"his"の誤植であろう。
Copyright© 2015-2022 栗島隆一 無断複製・転載を禁ず