第六章 聖なる記録 第六部

かつて人間であった者は「巡礼者」(Pilgrim)となった。彼は川の流れを横切り、彼は「いかめしい守護者」(Grim Guardian)の所を通過し、彼は「結合の場所」(Place of Union)の外で待ち、しっかりと立つ。彼は恐れることなく、毅然として立つ。「落ち着きはらった優雅なる者」(The Cool Gracious One)が水の入った三つの壺を持って近づき、彼を元気づけた。

その巡礼者は言う、「見よ、おお、「門の見張り番」(Watcher at the Gate)よ、私は愛の貯蔵庫に十分な宝を蓄えて来た。それ故に、私が通ることを許可し給え。私より先んじて進んだ者たちの愛をご覧あれ、私の愛は私を引き上げるのに大量であり十分ではないのか?私より遅れて来る者たちの愛をご覧あれ、私の愛は私を引き上げるのに大量であり十分ではないのか?」その見張り番は彼の言葉を聞く。

その厳しい守護者は計量して言う。「合格」。そこで、その男はその門を通過して「知恵の湖」(Lake of Wisdom)を越えて行き、「経験のうねる通路」(Winding Channel of Experiences)を通り過ぎて浸水している「葦の原」(Field of Reeds)を越えて「光の領域の東側」(Eastern side of the Region of Light)へと達し、そこで彼は新生によって「より高い圏」(Higher Spheres)へと回復させられるであろう。

その巡礼者は今や「天の胎内」(Womb of Heaven)の前に立ち、純粋なる生まれとしてそこを入る者は「神」(God)との結合へともたらされる。この者は、随行者が彼を助けて「栄光なる衣」(Robe of Glory)を纏う場所へと通り過ぎる。彼らはその者を歓迎する。

「見よ」、彼らは言った。「彼のコハール(Kohar)はこの者に自身を完成するための力をもたらした。地上での祈りの時間の間に彼がそのコハールの管理に預けた力は、大いに強められ取り戻されたのだ。この者は「喜びに溢れた仲間」(Joyful Company)に加わり、彼は、「重い領域」(Region of Heaviness)における、その古く放棄された肉体を去り、「光の領域」(Region of Light)にある他のより栄光の与えられたものを纏っているのである。」

コハールはその巡礼者を迎えて言う。「私は自分のものである貴方を歓迎しましょう。」コハールは周囲の者たちに言う。「この者は自分のものであり、彼は「知恵の湖」(Lake of Wisdom)にて洗い清め、そして「不信と疑念の洞窟」(Caverns of Distrust and Doubt)の傍を通り過ぎて来た。それ故に、我々は、「東にある結合した存在」(United Being in the East)のために「偉大なる扉」(Great Door)が開かれる時に、安らぎへと入ろう。その扉は全ての神々の上なる「唯一の真実なる神の場」(Place of The One True God)へと導いていて、その「神」の顕現は秘められたる神秘なのである。」

先へと進む前に、彼らは、堕落したそして悲惨な者ども、「道に迷いし者ども」(Lost Ones)、地上で悪の階級に仕えていた者どもが潜んでいる「暗黒の領域」(Region of Darkness)へ通じる通用口の傍を通り過ぎる。おお、偉大なるコハールよ、貴方のものである耳を塞ぎ給え、その巡礼者が後に取り残され破滅したる者たちが悲しみに沈んで待ち構える様を聴くことが無いように!」

その巡礼者の随行者たる者たちが呼び掛ける、「おお、コハールよ、貴方自身の正義を導き、彼を導いて、彼が再び横切らなければならない「生命の梯子」(Ladder of Life)を彼が登るように。その横木を強くし、彼を支え、彼が横木の上で軽々と身を支え、彼の重みの下でその横木が壊れることが無いように。これはずっと以前に為された行いの試練であり、悪は重くのしかかるのである。」

「おお、コハールよ、貴方のものは弱く注1、そしてよろめいている注2。が、貴方の腕は強い。それ故に、彼が上なる高みへと乗り越えるように、貴方の腕を持ち上げて彼を支え給え。そうして、彼が共感と理解のある者たちと共に座り、彼の歩みが「平安なる野原」(Fields of Peace)にて歓迎され、そして彼が「栄光なる者たち」(Glorious Ones)の間に自分の場所を確保することができるように。」

崇められるべきはコハールである。それは全ての記憶を保護して人々が穀物を保存するように保管し、「生まれ変わりし者たち」(Reborn Ones)が利用するためにこれらを保持し、人が忘却した全てのことを想起し、そして人々が井戸から水を引き出すように全ての記憶を引き出すことができる。コハールは永遠なる記録装置であり、巡礼者たちは「覚醒したる者ら」(Risen Ones)となって、魂が肉体に入るように自分たちのコハールの中に入り、そしてその結合の内に彼らは「栄光なる者たち」(Glorious Ones)となるのである。


脚注

注1:原文は、"Your ownis weak..."となっている。"own" と "is"の間にスペースがあるべきと考えるのが妥当であろう。

注1:ここm原文は、"weak andfalters,"となっている。"and" と "falters"の間にスペースがあるべきと考えるのが妥当であろう。

Copyright© 2015-2022 栗島隆一 無断複製・転載を禁ず