第二十九章 タンタリップ(Tantalip)の歌 その一

夜は後退し、約束のいつもの日を現す。大いなる太陽が曙の時分に昇って来て、そして蓮は花開き熱心に広げてその輝く中心を表す。貴方は来て、我が心は、貴方と会うために、私の胸から飛び出すようだ。

風が吹いて野生のイチジクの木を揺らし、貴方は来て、貴方の優美な香りが私の霊を夢中にさせ、そして私の体は震える。私は貴方の存在の影の中で弱くなる。私は、私の中の何かに呼び掛ける貴方の周囲の輝きを感じ、そして全ての基礎的な感覚を抑えつける事が出来る愛の驚異が私に畏れを抱かせる。

私は貴方と遭遇したのだ。朝の涼しい露の時分に、私の道中通りすがりに、貴方は清新な流水で入浴していた。私は貴方の純粋な愛らしさを見て、他の全てがおぼろになって私から消えてしまい、朝の美しさは、私が貴方について見た光景を前にしてかすんでしまった。私の慎み深いおとめ、貴方のしなやかな四肢を掴んでいる白い衣服を身に纏い、私は貴方と出会い、そして私の心は喜びで膨らんだ。息は私の喉の中で止まった。

貴方は見上げて微笑み、笑顔で貞節な挨拶をし、貴方のおとめなる淑やかさを表す衣服で貴方の身を覆った。貴方の優美な手はユリを抜き、貴方が水から上がって近づいて来た時、私の心臓はその架台から外れた。貴方は冷たくそしてきらきらと煌めく腕と広げた濡れた唇で私を抱きしめた。私は、自分の道を行くのを続ける前に、やがて来るであろう言いようのないより大きな約束を持って神々の喜びを味わった。私が一日に二度貴方に近づくことが出来る様に、私が魚であったなら良かったものを。

けれども私は男であるし、貴方への欲求の中で男らしさの炎が燃え盛っている。依然貴方は慎みの帳の中に在って、そして私は、いつの日か私の愛する妹が本当に私のものとなるであろう保証の為に、偉大なる神に祈る。彼女の慎みと淑やかさは、愛の内に引き渡されるべき贈り物として大事に保存されているものは、私にとって、金や真珠、または王たちの財宝以上の意味がある。私のものは、どれだけ偉大であれ、如何なる王も要求することは出来ない。男らしさに与えられるのは、愛の外套なのだ。

夜がやって来て、そして私はそれが我々の婚礼の夜で、貴方が私の傍にいる事を夢見ている。我が霊は喜びの翼で飛翔し、次のように歌う、「おお、この美しい夜に、我が愛にその究極の表現を見出させるようにして下さい!」貴方の息は「天」(Heaven)の香りで私を抱擁し、貴方の唇は愛の濃密なワインを施す。我々の体は恍惚の内に合わさって離れ、しかし我々の霊は如何なる分断も知らないより大きな結合で混ざり合ったままでいる。我々の結合した魂は、永遠なる運命を共に共有する。私はついに満足の優しい腕の中で眠りに就く。

おお、「人間たちの魂の偉大なる読み手たち」(Great Readers of the Souls of Men)よ、我が愛の強さを見られよ。基礎的な感覚で汚されていないのではないか?健全で要求が少ないのではないか?女性の秘密を保護するものではないか?我が愛が永久不滅なる光輝の中で大いなる年月を通じて豊かな栄光の内に花開くことが出来るように、我が愛が「地上」(Earth)で持ちこたえるようにし給え。我が愛が壁に囲まれていない「永遠の間」(Halls of Eternity)において永遠に輝きますように。おお、我が心の望みを認め給え!

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