第二十八章 ネファタリ(Nefatari)の歌 その二

人生は最も素晴らしい贈り物の運び手です。貴方は一人の男性であり、そして私の男性です。私の心の落ち着かない気持ちを作る人は、私の息づかいがため息のネックレスとなる時にそわそわしています。貴方の強い腕の中で私は、温かい夜の流水の中の蜂蜜のようにとろけてしまいます。

おお、男性、そして私の男性よ、私のおとめの目に素晴らしい人よ。私の人生の光、私の日々の太陽にして私の夜の月、私が信用して気持ちよくもたれかかる岩よ。というのも、貴方の強い保護を感じる事は、私の永久不変の大きな喜びなのです。私の体は、乾燥した野原が肥沃をもたらす水の抱擁を切に必要とするように、貴方を慕います。

貴方との優しい愛の時間は何と楽しい事でしょう。おお、これが、私がそこで貴方の妻として、貴方の生涯に渡る愛の伴侶として眠ることができる永久不滅のものとなりますように。この人生はいつも貴方のもので、貴方の喜びに尽くし、そして常に貴方と共にあり、最後まで節操を曲げず、私の手と貴方の手をつなぎ、共に「永遠なる喜びの間」(Halls of Eternal Joy)の夢の女神の前へ参りましょう。そこで、我々のように、健全に愛しあった者たちは、永久不滅の喜びを見出します。

ここでもあそこでも、私は貴方のものです。決して逃げ出す事なく、永遠に貴方のものです。純粋に貴方のものです、触れられる事無く、汚される事無く。何よりも先に私は貴方と共にあって、恋仲の妹です。もし、時折私の口がおとめらしくない図太い事を言うならば、それをお許し下さい。というのも、私は純粋な心を持っているからです。言葉が、汚れた経験の恥に手を付けた舌からではなく、愛で溢れて心から発せられます。

私は貴方の元へ、露で飾り立てられた庭の草木のように、美しく花開いた、甘い香りのする、そして爽やかなおとめの誇りをもって参ります。平安と満足は喜んで差し上げるための私のものです。貴方に、私は喜んでおとめにとって貴重な全てのものを差し上げます。貴方は私を他の誰とも共有することなく、私は独占的に貴方のものとなるものを差し上げることによって、愛を全うします。

貴方の額は内部に燃える男性の肉体の情念で暑くなり、そして私は、冷ます北風が焼かれた砂の熱を和らげるように私の女性的な手で貴方の額を冷まします。雄牛の強さと子猫の優しさが愛で結ばれるのです。

私たちは美の国にて、私たちが共有する夢によってこのように形作られる美しい庭にて共に歩みます。人々の王国では手と手を取り合って、霊の王国では心と心を通じ合って。全ての境界を超える愛によって心が共に結ばれる時、肉体は純粋さと平安で結ばれる事が出来ます。私たちは考えも無く歩き回り、私たちは共にあるので、私の心は喜びをもって歌います。

貴方の声は私の心の食べ物で、貴方との触れ合いは私の体に活気を与えます。私は貴方と会って、そして私は陽気になり、貴方と別れて、そして私は悲しくなります。貴方の一瞥は炎の矢の如く私を突き刺し、貴方の言葉は砂浜での押し寄せる海水の如く私をさらっていってしまいます。

恋人たちの時間の間、私たちは野生のイチジクの木の下に、恋人たちの血の果実そして恋人たちの目の葉っぱの下に座ります。私たちの心へのその囁きを聞いて下さい。私は愛において貴方指定のおとめで、貴方は私の主人で、私の心の指導者です。私は貴方の影の元に、貴方の影の中に住みます。おお、私が保護されない状態で離れないでください!

私は夜落ち着かず、かっかとしています。私の愛、彼の望みのリンゴ、女性的な愛の最初の果実を差し上げましょうか?私は野生のガチョウを待つ野鳥の罠でしょうか?おお、我が心よ、数え切れない程の女性たちは私より前、どのようにどの答えが正解であるかを決心して来たのでしょうか?

おお注1、私の短所を取り上げないで下さい。男性たちの流儀に従って私をさげすみ、そして私の父の面目を潰すといけないから。私の愛によってもたらされる弱点について、男性的な思いやりを持って下さい。私の母の前で私を貶め無い様に、私の父の家に恥の影を落とさない様にして下さい。私が常に「愛の母なる守護者」(Mother Guardian of Love)と共に誠実さを保つようにして下さい。私が彼女の面前に呼ばれた時、私が無垢の光輝を持って立つものとする様に。私を低級な者たちの女としないで下さい。

私たちの愛が栄光の内に、私たちがそこで誇り高くそして恥じることなく共に立つことが出来る啓示の光の中へと連れていかれるようにさせて下さい。私たちの愛が大いなる生命の連鎖の中でその定められた役目を果たし、人々に賞賛され、そして子供たちへの触発とならせて下さい。その愛が、太陽の光が降り注ぐ時恥でしぼんでしまう野原の隅にある花のようにはならない様にして下さい。

私は待ち、(婚姻の)日はやって来て、それまでの時間は長く伸びています。しかし、それも終わりに近づいて、私の男性、私の命よ、貴方は私へと急ぎます。愛の甘い女王よ、(願いが)かなう時を速め給え。


脚注

注1:原語は"0"(数字のゼロ)。これは"O"(大文字のオー)であろう。

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