第十七章 第六のエジプトの巻物

「神」(God)は全ての内にあり、「彼」(He)は全てのものを取り巻く。

「真の神」(True God)以外の「神」(God)は存在せず、「彼の」(His)存在は我々の永久不変なる生命の保証である。「彼」は始まりの前に存在したし、終わりの後に存在するであろう。

「彼」は強大であり、全面的に強力である。「彼」の荘厳さと壮麗さにおいて、如何なる人間も「彼」を思い抱く事は出来ない。「彼の」神聖なる性質は人間の理解を超越している。「彼の」創造物は畏敬の念を抱かせる。「彼の」やり方は底が知れない。

「彼」の創造的なる思考が全てのものを生み出し、「彼」より流れ出る力は生命である。「彼」は「彼の」頭の中に生命を保持し、「彼の」体の中に世界を保持する。

もし人間が、無知と愚かさの内に、自分自身の姿をしたより分かり易い神(god)を思い描いたり、木や石の神々(gods)を建造するならば、それは「神」の偉大さから何も取り去ることは無い。「至高なる者」(Supreme One)は常に「神」であり、人間の「創造者」(Creator)であり、そしてもし人間が崇拝するための地上的なる神々(gods)を作るのであるならば、それによって損害を受けるのは人間であり、「神」ではない。

地上のものの中で、人間は自分自身以上に偉大なるものを何も見出すことは無い。

人間は「神」を偉大にするために崇拝するのではない。というのも、人間はそれを行う事は出来ない。しかし、人間は自分自身を偉大にするために崇拝するのである。人間が出来る事の何も、「神」が既に保有する事に付け加えることは出来ない。人間たちは「神」を、人間の性質が非常に強められた「存在」(Being)として、いかなる王よりも偉大なる王のような「存在」(Being)として理解する。かくして人間は誤りに陥るのである。

太陽が嵐雲の背後に隠されているとしても太陽が光をもって人間を取り巻くように、「神自身」(God Himself)が人間から隠されているとしても人間は「神」の思考の内に神の光に取り巻かれている。

「自分自身」(Himself)は永遠であるが各人の内に住み、そして各人と共に「死の暗き入口」(Dark Portal of Death)を通過して向こう側の「光輝ある領域」(Glorious Region)の光の中へと導いて行くのが我々の「神」である。

「神」は全地上及び全圏を支配する。「彼」はそれらの内にあり、それらは「彼」の内にある。全てのものは「神」の内にあり、「神」は全てのものの内にある。存在するものは将来存在するものであった。全てのものは「神」の内に始まり終わる。

これのみが知恵である。理解して永遠に生きよ。

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