第十章 聖なる記録 第十部

我が「神」(God)であり「父」(Father)、我が「創造者」(Creator)であり「統治者」(Governor)、「至高にして不死なる霊」(Supreme and Immortal Spirit)よ、我儘な息子がその父の元へと来るように、私は貴方の元へとやって来ました。世の中が嫌になった放浪者が家に戻るように、私はやって来ました。勝利を収め、戦いでやり込められた戦士がその休憩の場所へとやって来るように、私はやって来ました。私は試練を通過した者です。私は難関を生き延びた者です。

私は、地上的なる場所での「貴方」(Your)の指示の中、長い年月の果実である知恵と知識に満ちて戻って来ました。そこにおいて、私は勤勉であり、時間を浪費する者にあらず、怠惰な男ではありませんでした。私は価値ある者と認められています。私、「貴方の」(Your)息子は、家に戻ってきたのです。

私が地上で展開させた善行は、急いで私の到着を知らせて私の前で私の素養を放つ伝令たちです。彼らは目に見えない翼に乗って放つので、私から発散するものに敏感な人たちだけがその到着を知ることが出来たのです。彼らは香水が風に運ばれるようにやって来ました。彼らは私を告知し、私の先触れとなりました。彼らは「輝かしい住処にいる霊たち」(Spirits in the Bright Abodes)へ挨拶をしました。が、私は「恐怖に住む者たち」(Dwellers in Terror)について忘れた訳ではなく、そして黄昏の小さな暗黒の霊が、私が地上を去った事を彼らに知らせるために発った。この点については、例えそこの誰かが私について知っているとしても、私は彼らの恐ろしい仲間ではない事を知らされるように。じめじめした惨めな暗黒の中で泣く者がいるであろうか?

私は辛さのうちに生活する試練を乗越えた。今や我が霊は稲妻の如き閃光のように突っ走る事が出来る。私は、為さねばならない事を成し遂げた者の一人である。私は自分の事を管理して来たし、それは完全に地上的な基準によってではなく、より大きな天のしきたりによってである。私は教えの本を注意深く読んだし、賢者らの解釈の言葉に耳を傾けた。

心を試験し思考を読む者が私を計量し、秤の上で私に欠けているもの注1は無かった。私は「冷静なる者」(Cool One)である。というのも、私の思考は平安のうちに在るからである。私は、炎が木を焼き尽くすようにその思考が自分自身を焼き尽くす「激しき者」(Hot One)の間に列せられることは無い。

私は「名も無き者たち」(Nameless Ones)を通り過ぎ、如何なる者も名付ける事が出来ず、その名前は人間たちに知られる事が出来ない「偉大なる者」(Great One)の面前へと入っていく。私は長年に渡る目的地へと到着し、私は究極の目的を達成した。私は「天の編み手たち」(Heavenly Weavers)が私の為に用意した不死の外套と光のローブを身に着ける。

私は「小さき者」(Little One)であり、偉大さではなく小ささを持ってやって来る。私は「謙虚なる者」(Humble One)であり、華やかさや壮麗さの内にやって来るのではない。というのも、これらは四個の四分割された地上の物事であり、ここにはその場所は無いからだ。私は悪とされる事をして来た。が、これらは無知によって為されたのであり、故意にあるいは悪意を持って為されたのではない。

おお、「監視者たち」(Watchers)よ、私は「神秘的な帳」(Mystic Veil)を突破した者であるが、「重苦しい王国」(Realm of Heaviness)へと戻る事を運命付けられていると、「光の主たち」(Lords of Light)と「暗黒の主たち」(Lords of Darkness)に知らしめよ。おお、「監視者たち」よ、私は今や自己を知っている永久不滅の霊であることを知らしめよ。おお、「神々の父」(Father of Gods)よ、全ての上なる者よ、これより後、私が自分の宿命を成就するために戻る時、私は奉仕の人生を生き、目的を持って生きることが出来るのを確実なものとする運命の命令を発せられ給え。


脚注

注1:原語は"wauting"。そのような英語は存在せず、前後の文脈から、"wanting"(欠けているもの)と訳出した。ちょっと苦しいかもしれないけど。

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