第三章 「破壊者」(The Destroyer) 第一部 大いなる巻物より

人々は「破壊者」(the Destroyer)の日々を忘却している。賢者のみがそれがどこへ行ったかを知り、そしてそれがその定めの時に戻って来るであろう事を知っている。

「破壊者」は、怒りの日々に「天上」(Heavens)を暴れまわり、そしてその姿は次のようであった:全き赤熱に包まれた煙の雲のうねりの様であり、その継ぎ目や手足は識別不能であった。その口はそこから炎、煙、そして熱い燃え殻が噴き出る深淵であった。

長い時間が経つと、「天上」(Heavens)の星々に対しある法則が作用する。星々の道は変化し、動きがあり落ち着かず、それらは最早不変ではなく、そして空に際立った光が真っ赤に現れるのである。

「地上」(Earth)に血の雨が降る時、「破壊者」(the Destroyer)は現れ、山が口を開け、そして炎と火山灰を噴出するであろう。木々はなぎ倒され、そして全ての生き物が飲み込まれるであろう。河川や湖水は地に飲み込まれ、そして海は沸騰するであろう。「天上」(Heavens)は明るく赤く燃え上がり、地表の上は銅色に染まり、そして暗黒の日が続くであろう。新しい月が現れて、そしてバラバラに砕けて落ちてくるであろう。

人々は狂乱して散り散りになるであろう。彼らは「破壊者」(the Destroyer)のラッパと鬨の声を聞き、そして「地上」(Earth)の洞穴に隠れ家を求めるであろう。恐怖が彼らの心を蝕み尽くし、そして彼らの勇気は壊れた水差しから水が流れる様に彼らから流出するであろう。彼らは憤怒の炎に食べ尽くされ、そして「破壊者」(the Destroyer)の息によって焼き尽くされるであろう。

過ぎ去った「天上の怒りの日」(the Days of Heavenly Wrath)は斯くの如きであったし、また再びやって来る「破滅の日」(the Days of Doom)は斯くの如きであろう。「破壊者」の到来と退去の時期は賢者たちに知られている。次の事は、「破壊者」(the Destroyer)の再来に先立って起こるであろう印と時期である:110世代が西へと移動し、国々が興隆・滅亡するであろう。人々は鳥の様に空を飛び、そして魚のように泳ぐであろう。人々は他の人と平和について談義するであろうが、偽善と欺瞞がその日の目を見るであろう。

女たちは男たちの様に、そして男たちは女たちの様になり、情念が人のおもちゃになるであろう。予言者の国が興っては滅び、そして彼らの口は学識のある話をするであろう。法を与える国が「地上」(Earth)を支配し、そして無へと去るであろう。一つの信仰が「地上」(Earth)の四つの地区へと移り、平和について語るが戦争をもたらすであろう。一つの海洋国家が他のどの国よりも大きくなるであろうが、核が腐ったリンゴの如くなり、そして持続する事はないであろう。一つの商業国家が驚きをもって人々を台無しにして、そしてその国は自分の日を迎えるであろう。その時には身分の高い者が身分の低い者と戦い、「北部」(North)が「南部」(South)と戦い、「東部」(East)が「西部」(West)と戦い、そして光が暗黒と戦うであろう。人々はその人種によって分裂し、そしてその子供らは彼らの間で異邦人として生まれるであろう。兄弟が兄弟と戦い、夫は妻と戦うであろう。父は最早その息子らを教える事はなく、その息子らはわがままとなるであろう。女たちは男たちの共有財産となり、最早尊重や尊敬される事はないであろう。

その上、人々はその心の中が不安で落ち着かず、彼らは自分たちが知らない事を追い求め、そして不確実性と疑念が彼らを悩ますであろう。人々は大いなる富を有しているが、霊的に貧困となるであろう。それから、「天上」(Heavens)が震えて「地上」(Earth)が動くであろうが、人々は恐怖で身震いし、そして恐怖が彼らと共にある間、「破滅の使者」(the Heralds of Doom)が現れるであろう。それらは、盗人が墓にやって来るように静かにやってくるであろう。人々はあるがままのそれらを知らないであろうし、人々は欺かれるであろう。「破壊者」(the Destroyer)の時が間近に迫っている。その頃には、人々の前には「偉大なる書」(the Great Book)があって、知恵が開示されるであろうが、その場に参集する者たちはほとんどいないであろう。それは試練の時であるからである。豪胆なる者たちが生き残り、勇気ある者たちは絶滅へと下って行かないであろう。「あらゆる時代の偉大なる神」(Great God of All Ages)は、全てのものと同様に、人間の試練を設定するが、「破滅の日」(the Days of Doom)において我々の子らに慈悲深いのである。人間は偉大となるために罹災しなければならない。が、過度に自分の進歩を急き立ててはならない。大いなるふるい分けにおいて、人々の間のより劣った者たちに過酷でありすぎませんように。盗人の息子でさえ、「貴方の」(Your)書記となったのであるから。

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