第十七章 魂の歌

「私はまどろみから目覚めた眠りたる者である。私は永遠なる生命の種である。私は永久不変なる人間の希望である。私は「神聖なる霊」(Spirit Divine)の若枝である。私は魂である。」

「私は時間の始まりの頃より存在して来て、永遠に存在するであろう。私はねじれの中に編み合わせた意匠であり、創造物の織物である。私は生命の破壊できない本質である。私は人間の希望と熱望の宝物庫であり、失われた愛と成就した夢の倉庫である。」

「時間が存在する前、私は「至高なる全て」(Supreme All)と合体していた無意識の潜在的な霊であった。時間が始まった後からずっと、私は眠っている霊の海の中にあって、分離したこの世的な受肉へと引き出されるのを待っていた。今や、私を包むこの世的な肉体がバラバラとなって腐敗するにもかかわらず、私は永久不変でありそして不死であり続ける。生命の全ての衰退と流れにもかかわらず、如何なる運命が決めるにせよ、私はあらゆる時代の永久不変なる宝石であり続け、この世的な目には見えず、この世的な手で触れることが出来ない。」

「私は死すべき定めたる人間たちの永遠なる花嫁であり、目覚めの口付け、認識のささやきを常に待ち続けている。おお、肉なる存在よ、私を否定しなさるな。忘れられた孤独の内に、独りで放置し、求められず、顧みられずに私を住ませなさるな。恋する者がその恋人を抱きしめるように、私を貴方の方に抱きしめ、地上的な事物の向こうへと手を伸ばし、そして永遠に貴方のものである唇へと口付けされよ。地上的な敵対者の圏の向こうへと、利得と所有のちっぽけさの向こうへと目を向けられよ。私を把握し、所有なされよ。貴方自身の永久不変なるそして応答する魂を。」

「貴方は感情的な動揺が荒れ狂うところで、あるいは肉欲のあらしが大騒動や心の乱れをもたらす間は、私を見出すことは出来ないであろう。最初にそういったものを抑制されよ。というのも、私は穏やかな流れの静けさのうちに、そしてその向こうで待っているからである。恋する者がその恋人を求めるように、独りで、平穏と静穏の内に私を求めなければならない。そのような状態においてのみ、私は認識の目覚めの口付けに応答するであろう。」

「私をおろそかにしなさるな。おお、我が愛する者よ、私を曇らせなさるな。というのも、私は計り知れない秘宝として貴方のもとへやって来ているのだから。私は美と潔白、快活さと健全さ、上品さと思慮、潜在的な完ぺきさの宝石をもたらす。貴方と共に悪霊の彷徨う暗黒と恐怖の領域へと私を引きずり降ろすことなかれ。私は貴方のものであり、地上の如何なる恋人よりも貴方に近い。もし貴方が私を足蹴にするのであるならば、私は暗黒の恐ろしい破滅へと下っていき、そこで貴方の扱いの悪影響から逃れて清められるであろう。その時私が期待することが出来る最善のことは、他の者に与えられてしまうことである。」

「私は、貴方の真の自己をその光輝なる運命へと連れていく命令を待っている、崇高なる媒介者である。私を大事にしないような、そんな向こう見ずな者が誰かいることが出来ようか?動くことなく、私は思考よりも迅速であり、天界の様な羽で、私はこの世的な感覚の領域よりもずっと速く進む。私は生命の泉を飲み、永遠なる活力の果実を食べているのである。」

「我が愛する者よ、土で形作られた死にゆくものに過ぎない貴方は何なのか?永久不滅の炎からの閃光によって生命を与えられたほんの一握りの塵。私自身は、潜在力に過ぎない。が、一緒になると、地上の物そのものだけでは我々を包含することは出来ないので、我々は非常に際立ったものとなり、我々は地上の物を超越して神性の圏へと手を伸ばす。私を連れていき、目覚めさせ、認知し、大事に育てられよ。そうすれば私は、地上では創造することが出来ない光輝なる世界へと、貴方を運んでいくであろう。」

「私は、無限なる自由への帰還を望んでいる監禁された捕虜である。にもかかわらず、私の地上的なるものへの愛ゆえに、私は滅びゆくものに対する悲しみの心痛を感じている。しかし、私は、浮世での一時滞在からの不可分なる苦悩を超えたところには、希望と喜びの華々しい虹が輝いていることを知っている。そこには無限なるものの中心にて待ち構えている愛の場所がある。そこでは、もし貴方が私を大事に育てさえするならば、我々がそこに現れることを拒まれることはないであろう。」

「私は、霊的重力の法則によって、「普遍的なる魂」(Universal Soul)との結合へと向かって引き付けられており、人間のこの世的なる要素が塵に帰すのを逃れることが出来るよりも、「普遍的なる魂」への帰還を逃れることは出来ない。人間は、自分の中の光輝の反映した光によってその光輝を悟り、自分の中の愛によって愛を知る。太陽は、その光によって見られて、人間の中の如何なる光によってでもない。人間はその霊の光によって霊を悟り、この世的な自己の中の如何なる光によってでもない。霊の光によってのみ、人間の霊に光がともされるのである。」

「私は、我が「神」との霊的交渉のために目覚めさせられる時、安らかである。私は、意識の中に座を構える時、そして知恵と地上的なものを超越した幻を授けられる時、喜びに溢れている。私は、私が似通っている偉大なる圏との霊的交渉において大いに楽しむ。私は、私がそこからやって来た「神聖なる霊」(Divine Spirit)との結合を喜ぶ。私は貴方自身の真の自己であり、永久に大事に育てられなければならない。私のささやきに耳を傾けることによって、貴方の思考を私に住まわせることによって、そして私を知ることによって、より偉大なる圏の全き栄光が貴方に開かれるのである。」

「私は、目が見る物を読み取り、耳が聞く音を理解し、手が感じることを知り、口の中に入るものは何でも味わい、鼻に伝わる如何なる臭いも嗅ぎ取るものである。私は、地上の全ての良い物を知り、楽しむ、内在する意識である。惑わしの暗愚の内に住むものは、私について知ることは出来ず、そのような者たちに対しては生命の最も偉大なる栄光が失われているのである。全ての美、愛、そして親切さの概念は、私の中に存在する意識によるものである。私がその地上的な住処から立ち去る時、私は、風が花の香を運んでいくように、私と共に感覚の知覚を携えていくであろう。」

「私は生まれることはなく、そして死ぬこともない。一旦覚醒して意識の中の存在へとなれば、私は決して無となることは出来ない。私は、生命が肉体から離れる時に死ぬことなき永久不滅なるものである。おお、私を呼び起こし、意識ある生命を授ける口付けをもって、その眠りから目覚めさせられよ。私が気付かれず、永久なるまどろみの外套の重さに包まれて、夢もなく、知ることもない状態で、私を放置するなかれ。」

「私は不滅なるものである。炎は私を燃やすことが出来ず、剣は私を傷つけることが出来ず、あるいは水が私を窒息させることはない。太鼓が打たれる時、それが発する音は掴むことが出来ないし、保つこともできない。私はその音のようである。貝殻を吹く時、それが発する音色は掴むことが出来ないし、保つことも出来ない。私はその音色のようである。笛を吹く時、それが発する音楽は掴むことが出来ないし、保つことも出来ない。私はその音楽のようである。私は物質中で認識されることを待っている非物質的なるものであるが、私自身の圏においては、私は実体のあるものである。そこでは、人間に知られている物は、最早この世界の夜明けの霧以上に実質のあるものではない。」

「私は、息をする全ての物における生命の炎であり、その息と組み合わせて、私は肉体に与える食べ物の中の滋養のある実質を消費する。私は全ての者の心にある種の中の核である。私は記憶の守護者であり、知恵の調停者である。」

「次のものは私のものであり、常に私と共にある。それらは私にとって、この世的なる肉体に対して骨や筋肉が与えるものである。覚醒し、そして眠りたる意識。自己の認識。感覚の5つの力と5つの活動。感覚の鋭い存在である、管理された霊。」

「私は貴方の中の生きている意識であり、私は知る者である。目によって見られるものや鼻によって嗅がれるものは、私によって受け取られているのである。聞こえることや感じられることは、私によって記録されるのである。魂と霊である私が記録したものを保持するものの外部に言葉で報告を返すとは言え、私は全ての為されるべき意思決定を引き起こす内部の存在である。手並みや足の動きなどのような如何なる為されたこと、そして企てられることも、全ては私の命令に従って為されるのである。」

「私が立ち去る時、私なき肉体は、捨てられて放棄される擦り切れた衣服と同じ程度役に立たない。我が最愛なる人よ、我々は共に、恋人たちのように手を取り合って行こうではないか?私は、咲き誇る意識の壮麗さの中、燦然として帰郷するであろうか?あるいは、足蹴にされ、そして屈辱を与えられ、感受性、記憶、あるいは知識もなく戻るのであろうか?私は、栄光の光の中、喜びをもって迎えられつつ戻るのであろうか?あるいは私は不面目にも暗黒の中に隠れ家を求めなければならないのであろうか?我が最愛なる人よ、私は貴方のものなのだ。貴方が望むように私と共に行動されよ。私は永久不変に貴方のものなのだから。」

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